オーソリとは。ECと切っても切れない大事な話。

こんにちは。アプロ総研の受注担当です。

今回はECとは切っても切り離せないクレジットカードの『オーソリ』についてのお話です。

今まできっと20回くらいは人に説明した事があるような気がするECにとって、とても大事な内容です。
ということで次回から新入社員にはこれを見て勉強してもらおう!!ってことで今回の題材とさせていただきました。

こちらを見てくださる方々にも何等かお役に立てれば幸いです。では、行ってみましょう!!

実は知らない間に通ってる!?『オーソリ』とは

オーソリ(英語のオーソリゼーション(Authorization)の略語)とは、そのカードが正規のもので尚且つ使用可能なものなのかクレジットカード会社に確認し、利用枠を抑える事を言います。

クレジットカードにおいては「信用承認」「与信確保」などの日本語が当てはまります。
ローン審査の極小版みたいに考えるとイメージしやすいかもしれませんね。

意識されていない方も多いと思いますが、クレジットカード決済をする際はもれなくこのオーソリ審査が行われています。
オーソリ→「実請求の処理」を行う事により決済が確定し、実際にお金が引き落とされることになります。

カード会社は、送られてきたカード情報と販売情報、お店で○万円の商品を買おうとしているという情報を突き合わせ、問題がなければOKを返します。その確認をもって店主はお客さまに商品を引き渡し、クレジットカードによる取引が成立します。同時にカード会社はカードの利用枠のうち、商品代金分を確保します。すると、カードの利用限度額は、確保された商品代金分少なくなります。

実際にはもっと複雑ですが、オーソリの手順と内容を分かりやすく説明するとこんな感じです。私たちがカードで買物をするとき、決済端末にカードを通す度に、このようなやりとりが店とカード会社との間で行われています。 

最近ではセルフレジなどでご自身で清算を行う機会が増え少し前と比べるとその仕組みも身近なものとなっているなと感じる今日この頃ですが、皆さんはいかかですか?

『オーソリどうして必要なの?

そもそも、なんでオーソリなんていう複雑で難しそうなことが行われているのでしょうか?

簡単に言えば「うっかりの防止」「悪いことの抑制」です。

クレジットカードって便利だけど怖いところもありますからね。
最近では、クレジットカードの不正利用が増加しセキュリティもどんどん強化されていっていますよね。

利用枠の確認と確保

まずは「うっかりの防止」についてです。
クレジットカードには【利用上限金額】が設定されています。

毎月10万円の支払いまで可能なカードで、11万円のお買い物はできないのです。しかし、実際は一度にポンと11万円のお支払いではなく、1万円、2万円、5千円…、ここ最近ではキャッシュレス決済により100円単位といった支払いがちょこちょこあるという使い方が一般的になってきています。これを読んでいる方も、正確にあといくら使えるのかを把握しているって人は少ないと思います。

オーソリは「あといくら使えるのか」確認を取り、同時に「今月○円利用予定あるからね」と支払いの枠を確保してくれているのです。

これによってトラブルのない取引ができるわけですね。

 

不正利用の防止

次はみなさんが一番気になるといっていい「悪いことの抑制」についてです。
オーソリは偽造されたり盗難された不正なカードが使用されていないかチェックする役割もあります。これがないと悪いことし放題になってしまいますから、とても大切なチェックですよね。

不正利用ではなく、期限切れのカードや番号が違うなど、「使えない」カードかどうかのチェックも自動でしてくれているのです。

しかし、昨今ECの繫栄と共にカード決済による不正も増加傾向にあります。

現在、3Dセキュアが本人確認の仕組みとして導入されていますが、カードに暗証番号とは別にパスワードを設定したりしますよね。もう一段階、情報を入れないと使えないようにするのが3Dセキュアです。そして、どんどん増え続ける不正に対し、政府も動き出しました。

ただ…それでも不正は起こる

オーソリは「そのカードが使えるのかどうか」というチェックはできても、「そのカードを使っているのが本人かどうか」までのチェックはできないんですよね…。

そのため不正利用が減ることはなく、むしろここ最近のキャッシュレス化の流れで不正利用は増えるばかりでしたが今年に入って、経済産業省ではクレジットカードの不正利用対策としてオンラインでのクレジットカード決済時には、生体認証などによる本人確認を義務づける方針をまとめました。オンラインのクレジットカード決済を行なう全ての事業者に対し、2025年4月までにクレジットカード決済時に生体認証などの本人確認を行なうことを義務化するとしました。

これによって流出したカード情報を第三者が不正利用するといった事を防ぐことが出来るようになりますね。

もちろん、サービス利用料は事業者にかかってしまうのですが、売上金を回収できない「チャージバック」のリスクをさけなければなりません。

「チャージバック」とは、紛失や盗難などの理由でクレジットカードの不正利用が判明した際に、正規のカード所持者に対しクレジットカード会社から支払代金が返却(もしくは支払いがキャンセル)される仕組みです。

つまり クレジットカード利用者を保護するための仕組みということなのですが、 加盟店側にとっては商品も戻らず、売上金の回収もできなくなるリスクを背負わなければならないため、ある意味厄介な存在とも言えます。

現在のオーソリ承認の基本的手続きでは、クレジットカード番号、有効期間、金額のみで判断されていることもあり、悪意の第三者による不正利用のチェックは十分とは言い切れないんです。現状は発覚しても泣き寝入りせざるを得ないため、セキュリティ強化はしておきましょう。

オーソリにも期限や種類がある?

オーソリに期限は…あります!が、これがかなりバラバラで短いもので30日、長いもので90日くらいです。
そもそもオーソリの期限って何なのでしょうか?

オーソリでクレジットカードの利用枠を確保します。その後販売店の任意のタイミングで売上処理を行います。売上処理を行うまではお客さまに対してご請求は行われませんがクレジットカードの利用枠は確保された状態になります。利用枠を確保できる期間、これがオーソリの期間です。この期間はクレジットカード会社によって異なり、30~90日程度が一般的です。

このオーソリの保持期間中に実請求をかけなければ、オーソリが失効し、売り上げが立たなくなってしまうんです。

あと実はオーソリにも種類があるんですよね。
自動オーソリと手動オーソリです。とはいえ、弊社では手動オーソリを行っているECサイトには遭遇したことがありません。手動オーソリはホテルの予約など、数か月先に実請求を上げなければいけないようなサービスで採用されています。

あんまり早くに請求上げてしまうとキャンセルの処理なんかがとても大変なんです…‼ だからキャンセル料100%が適用される日付になってから請求を上げるのがベターなんです。それならキャンセルとかあっても返金処理しなくていいですからね。でもそんな日を待っていたら、オーソリが失効してしまう可能性があります…。
なので、手動オーソリでは「カードが有効なのか」だけ確認しておいて、任意のタイミングで「利用枠の確保」を行っているんですね。で、キャンセル料100%になったら実請求を上げるのです。

自動オーソリの方が一般的です。
これはもう読んで字の如く。カードの確認と利用枠の確保を一気にやっちゃうよ、ということです。
ただ、もしも注文が殺到して在庫が足りなくなってしまったとしても、キャンセルが正常に行われるまでは手続きが途中まで進んでしまってることになるので、デメリットと言えなくはないでしょう。

オーソリ後のクレジットカード決済の売上の処理タイミング

実請求を上げるタイミングもショップや商材ごとに違ったりします。
こちらもまた2種類あります。
すでに何となくお分かりかとは思いますが…

自動売上方式と指定売上方式の2つです。

「オーソリ(仮売上)=実請求(実売上)」タイプの自動売上方式
「オーソリ(仮売上)→実請求(実売上)」タイプの指定売上方式

どゆこと?ってなると思いますが、こういうことです。
実はECでは「取引が成立したYO!」って法的に認められるタイミングがあるんですよ。
それが「注文確定メールが届いた時点で」ってタイミングです。

しかし、実際は一般的な物販などの店舗様では発送をもって請求を行うというのがほとんどではないでしょうか。こちらが指定売上方式「オーソリ→実請求」のタイプです。
なぜいつ請求してもいい認められているタイミングがあるのに発送後にとするかというと送ってもない商品の代金を請求したら後からキャンセルしてほしい・変更してほしいなどが入ってしまうとと~っても面倒なんです。

というわけで、一番確実な「発送が終わったものに一斉に請求をかけます!」というのが主流です。

カートの仕様によっては必ずしもこの限りではないのですが、一定の目安になり分かりやすいかと思います。

そしてもう一つの自動売上方式「オーソリ=実請求」ですがこちらはオーソリの承認後に、自動で売上処理を行う方式です。EC事業者さまは売上処理に時間を掛けずに済みます。

漫画、音楽などの配送の必要のないダウンロードコンテンツやお客さまの購入手続き直後にポイントをチャージするものなどは、購入完了の瞬間から商品が手元にありますので注文確定メールが届くのとほぼ同時に決済が確定しても問題ないんです。

デビットカードはオーソリがない!?

オーソリってEC事業者にとってはごく当たり前の概念だったりするのですが、お買い物されるお客様はそうではありません。

オーソリに関係するEC特有のトラブルと言えばデビットカードにまつわるものです。
デビットカードは即時引き落とし、口座の残高分しか使えないという特性で使いすぎを防止できたりと、便利な側面があるカードです。

デビットカードは即時引き落とし…つまりオーソリは無いの?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。オーソリ→実請求までのタイムラグがほとんどないだけで、デビットカードにもオーソリはありますよ。
強制的に前述の「オーソリ(仮売上)=実請求(実売上)」タイプなんです。

デビットカードは即時引き落とし、口座の残高分しか使えないという特性で使いすぎを防止できたりと、便利な側面があるカードです。がしかし、デメリットが1点…いや2点 それは上記の決済タイミングです。

デビットカードはオーソリ=実請求の為、再度オーソリを取ると、オーソリ=引き落としされるとなってしまいます。ですからたとえば注文変更を行った場合、再度オーソリを通ると再度全てのご注文のご請求が発生し、そして口座より引き落とされてしまいます。
一時的とはいえ二重引き落としになってしまいますので、ご案内の文章にはご注意しなければなりません。

そしてもう一つのデメリットがデビットカードは返金までの期間が長い!!のです。オーソリのタイミングによっては相殺されたりする場合もありますが、請求上は2重請求の1返金となってしまいます。
そして返金タイミングが遅いことで返金だけがされないといったことにもなってしまうんです。そのためお客様へのご案内はとても注意しなければならないとなってしまいます。



オーソリのキャンセル(取消・削除)はきちんとしよう。

なんかもう少し巷の記事と違ってもうちょっとECっぽいことも書きたいなと思うので書きます。

皆さん、注文のキャンセルってどうしていますか?

楽天などのモールはキャンセル処理として「注文ステータスの移行」と「オーソリの削除」を両方やってくれますが、ASPとは別に決済代行サービスを契約している場合、オーソリの削除が別で必要になったりするケースがあります。ちっちゃいチェックボックスにチェック入れてないと「注文ステータスの移行」しかしてくれなかったりするんです。

これを行わないと、お客様のカードはオーソリの期限が失効するまでその分他のオーソリを通すことができないんですね。カードや決済の種類によりますが、オーソリは長くて90日くらいもちます。なのでお客様が知らぬところで「買物してないのにカードが使えない!」なんて事にならないように、オーソリの削除もきちんとしましょうね。

因みにAmazonPayのオーソリ保有期間は30日なので、こちらの場合だと1ヶ月以上先の指定日配達とか入ってしまうと請求時にエラーが出ますので、導入されているサイトでは配達希望日で選べる日数が30日を超えないように設定しましょう。

まとめ

・『オーソリ』とはカードが使用可能なものなのかクレジットカード会社に確認し、利用枠を抑える事。

・『オーソリ』は不正の抑止やトラブルなく取引を行うためにとても大切なもの。

・不正の防止に関しては『オーソリ』だけでは不十分なので3Dセキュアの導入をお勧めします。

・2025年4月までにクレジットカード決済時に生体認証などの本人確認を行なうことを義務化とする動きがあります。

・キャンセル処理は『オーソリ』の解除(削除)までしっかりと行いましょう。

以上です。いかがでしたでしょうか?

普段、クレジットカードを使用する側ではなかなか意識しない『オーソリ』ですが、ECビジネスに携われば毎日お世話になることとなります。内容をしっかり理解しお客様とのトラブルを防ぐためにお役立てば幸いです。

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