「カスハラ」に潰されないEC運営へ──クレーム対応の限界と、今すぐできるリアルな対策とは?

はじめに:もう我慢しない。ECにも“限界”があります

「また同じクレーマーから…」「今日は何も悪くないのに、理不尽な怒りをぶつけられた」

EC業務に携わる方なら、一度はこんな経験があるのではないでしょうか。
電話越しやメール、チャットの向こう側から飛んでくる暴言、無理難題、返品詐欺…それはもはや“お客様対応”という名の皮をかぶった**カスタマーハラスメント(カスハラ)**です。

カスハラという言葉は以前から存在していたものの、特に近年はEC業界・オンラインショップの現場でも深刻化しています。
非対面でのやりとりゆえに、相手の感情が読み取りづらく、クレームがエスカレートしやすい土壌があることも一因です。

本記事では、EC業界で実際に起きているカスハラ事例やその背景、そして現場で使える具体的な対策を分かりやすくまとめました。
もう一人で悩まないために、そしてスタッフの心を守るために、ぜひ最後までお読みください。

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ECにおける「カスハラ」のリアルな現状

カスタマーハラスメント(カスハラ)は、単なるクレームとは異なります。
理不尽な要求、人格を否定するような暴言、制度の悪用など、「業務の範囲を明らかに超える行為」のことを指します。

たとえば、こんなケース…

  • 返品詐欺:「使ったけど気に入らなかったから全額返金しろ」と無理な要求をする
  • EC クレーマーの線引き困難:「対応が悪い!」と怒鳴るが、どこが悪いのかは曖昧
  • レビュー脅迫:「★1を付けるぞ」と言って無償対応を迫る
  • 過度な時間拘束:1回のクレーム対応に数時間取られ、他業務に支障

これらはすべて、EC業務で実際に起きているカスハラ事例です。
とくに楽天やAmazonなど大手モールに出店している場合は、レビューや評価が売上に直結するため、泣く泣く応じてしまうショップも少なくありません。

なぜECショップにカスハラが増えているのか?

背景にはいくつかの理由があります。

顧客との物理的距離

オンラインショップは便利である一方、対面接客がないため、感情の抑制が効かない顧客が増加
画面越しだと攻撃的になりやすい心理が働くと言われています。

即時対応の期待値

「すぐ返事が来て当然」「24時間対応すべき」…そんな過剰な期待を持つ顧客も増えました。
SNSやチャットサポートの普及により、即レス文化がカスハラに拍車をかけている側面も否めません。

顧客対応が“見えない仕事”とされがち

社内でも、受注処理やカスタマーサポートの業務が軽視されやすい傾向があります。
そのため、精神的な負担やストレスが見過ごされがちです。

放っておくと危険!カスハラがもたらすEC現場へのダメージ

「お客様第一」の精神で、つい対応を続けてしまうケースは少なくありません。
しかし、以下のような弊害が静かに積もっていきます。

  • スタッフのモチベーション低下・離職
  • 対応疲れによる業務効率の低下
  • 優良顧客への対応時間が減少
  • ブランドイメージの毀損

何より深刻なのは、顧客対応のストレスが日々の業務全体に悪影響を与えることです。

EC担当者のための「カスハラ対応」5つの具体策

では、どうすればこの“見えない暴力”から現場を守ることができるのでしょうか?

1. クレーム対応の線引きを明文化する

社内で「対応可能な範囲・拒否すべきライン」を明文化し、マニュアル化することが大前提です。たとえば、

  • 返品受付は●日以内、かつ未使用に限る
  • 脅迫的な言動があった場合は対応を中止する

など、対応ガイドラインをスタッフ全員で共有しておくことで、迷いや不安を減らすことができます。

2. 悪質クレームは「記録に残す」ことを徹底

対応履歴を残しておくことで、同一顧客によるリピート被害を防ぐことが可能です。
CRMツールやスプレッドシートでも構いません。
トラブルのたびに「証拠」を積み重ねましょう。

3. 返品詐欺・レビュー脅迫には毅然とした態度で

返品詐欺などの不正行為には、モール側への通報や法的措置の検討も必要です。
また、レビューを盾に脅す行為は規約違反として通報対象になります。

4. 第三者視点を活用する

外部のサポートセンターやチャットボットを導入し、“ワンクッション”を置くことが効果的です。
直接対応を減らすだけで、心理的負担が大きく軽減されます。

5. 社内で「相談できる空気」をつくる

カスハラ対応は、一人で抱え込むと心身ともに限界を迎えます。
日報や週報に「顧客対応で困ったこと」を書ける仕組みを作ったり、チーム内で事例共有会を定期開催するなど、“声を上げられる環境づくり”が大切です。

EC現場におけるカスハラの種類と対策

■ 暴言・人格攻撃

被害の例:
・電話口で怒鳴られる
・スタッフへの差別的な発言

有効な対策:
・通話内容の録音
・不適切な発言があった場合は即座に会話を中断し、記録を残す

■ 返品詐欺

被害の例:
・使用済みの商品に対して「未使用」と偽って全額返金を要求される

有効な対策:
・発送前・返送品の状態を写真で記録
・返品・返金の条件は商品ページや購入後メールで明示する

■ レビュー脅迫


被害の例:
・「無償で対応しないなら低評価をつける」といった脅し文句

有効な対策:
・やり取りの記録を保存し、楽天などのモール運営元に通報
・冷静かつ一貫性のある対応を心がける

■ 過剰な拘束


被害の例:
・同じ内容の問い合わせが何度もくる
・長時間にわたる電話で業務が妨げられる

有効な対策:
・問い合わせ対応の時間や回数に上限を設け、ルールとして明示
・必要に応じて自動応答やチャットボットの導入を検討する

最後に:我慢は美徳じゃない。EC担当者にこそ「守る力」を

私たちは日々、お客様のために努力しています。
でも、その「誠実さ」を悪用する人たちが存在するのも事実です。

カスタマーハラスメントは、対応する側の尊厳を奪い、現場を疲弊させます。
だからこそ、今すぐにでも「守る仕組み」を整えることが必要不可欠です。

アプロ総研では、EC事業者様向けのカスタマー対応最適化支援や、マニュアル作成のサポートも行っております。
もし「うちもそろそろ本気で対策したい」とお感じでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

あなたのブランドとチームを、理不尽な攻撃から守るお手伝いをさせてください。

👉詳しくは こちらからお問い合わせください

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