受注管理システムとは
こんにちは。アプロ総研の受注担当です。
ECにおける受注管理システムとは、顧客から入った注文の受付や、データでの管理、加工修正といった受注管理業務を効率化・自動化するためのシステムです。近年のEC事業は多店舗を運営することが多いので、自然と複数店舗を一元管理できるものになっています。
なんで受注管理システムが必要なの?
無尽蔵に人的コストと時間を突っ込めば、受注業務をシステムなしで回すことは恐らく不可能ではありません。しかしそれをすると採算が合わない、自社ツールが乱立しまくり業務が属人化、発送が遅れがち、システム判定なら気づけるミスに気づけない…など様々な問題が発生します。特に出荷依頼に関してはデータの受付締め切りもあるので、波のある注文数にある程度耐えられなくてはいけません。
受注管理システムはその名の通り受注情報を管理、処理するためのシステムです。
つまり、今までショップが苦労してきたことが効率化できるような型やノウハウが詰まりまくっています。
受注管理システムが必要な理由は、効率化と業務品質の向上です。受注管理システムを導入することで、業務が標準化され、ミスも減ります。また、自動化されたプロセスにより、注文の処理や発送が迅速化されます。これにより、業務効率が向上し、品質も保たれます。さらに、データの集計や分析が容易になり、経営判断の裏付けにも役立つのです。
今からどんどん売り上げを上げていきたいショップはもちろん、業務改善に取り組みたいショップにとっても受注管理システムの導入はほぼ必須と言えます。
受注管理システムが必要な時期は?
受注管理システムの導入がほぼ必須といったって、本当に最初期から導入できるショップはコストの面から見ても少ないでしょう。
しかし受注代行や導入設定の代行も行っている弊社としてはできる限り早い導入がおすすめなのもまた事実です。
スモールスタートを切ってブラッシュアップしていく方が圧倒的に労力がかからないからです。
じゃあ一体いつ頃が目安なのか?
一つの指標となるのは月の出荷件数が500件を超えたあたりです。
大体一日の注文件数で言うと15~20件程度でしょうか。
勿論商材や対応範囲にもよりますが、1000件を超えるとぐっと負担に思うことが増えますのでこのくらいの件数で導入しておけるのが理想です。
受注管理システムは高機能であればあるほど設定も複雑になっていきますが、「使い始める」ことを目標とすればハードルは格段に下がります。
そこから効率化のためのトライアンドエラーを繰り返していくことができれば、売り上げが増えていっても負担が少なく済みます。売り上げが上がれば上がるほど、平常時とイベント時の波動対応のギャップも上がっていきますから備えておけると安心です。
実際受注管理システムでどんなことをしてるの?
弊社はECサイトの受注代行サービスを展開しています。
使用しているのは受注管理システム、ネクストエンジンです。
これを用いて日々の受注~出荷依頼、在庫管理や各種通知、売り上げ請求等を行っています。
もう少し詳しく書いていきます。
・注文確定メール、発送メールの送信(自動・手動メールの送信)
・お客様対応
・入金情報の管理
・手動対応が必要な受注の修正。
ラッピングなどの包装に関する倉庫への指示対応や、住所に軽微な誤りがあれば修正など。
・出荷の保留
注文内容に誤りがある場合などは出荷を保留にして、お客様に確認しています。自動でデータをWMS(倉庫の出荷管理システム)に送信する仕組みだと間に合わないこともあります。
・在庫の調整
出荷時は自動で在庫が減っていきますが、入荷時や、理論在庫が実在庫とずれていた場合は原因を究明し、調整をかけます。意外とフロントでの問題が見つかることもあります。
・出荷依頼データの吐き出し
・発送番号データの読み込み
・各種モール、カートでの売り上げ処理
自動のモールもありますが、基本的には発送を行った受注の請求を確定しているので、受注管理システムの当日出荷データを元に各モールやカートで作業を行います。
・在庫連携
複数店舗を運営されているショップでは、各店舗で在庫を共有しているのでA点で1つ受注が入ればB店の在庫も1つ減らす…という「在庫引き当て」という仕組みを受注管理システムが担います。連携自体は勿論自動ですが、そこに至るまでの登録や調整は人の手で行います。中には、この機能のみご利用されているクライアント様もおられます。それくらい重要な機能です。
その他注文データの条件によって、同梱物の内容を変えたり、プレゼントを付けたりといったこともしています。システム判定させることによって複雑な条件設定も可能になります。(矛盾の無い条件を作るのは結構しんどいですが。)
商品の種類や発送方法、決済方法が増えてくるとそれが矛盾の無いものであるか、というような判定も行っています。
お届けに関するご要望などにもなるべく添えるように調整をかけたり、商品特性によって変更になるチェック項目を一括で確認したり、カート側で対応できないことを調整するのも受注管理システムの役割です。
・メール便の商品で代引きや指定日配達の希望が入っていないか。
・離島地域に適した発送方法に変換をする。
・希望があれば領収書や納品書の対応
・オーダー品であれば指定内のサイズに収まっているか
・不在時は宅配ボックスに入れてほしい、入れないで欲しい…などなど
・長期休業日対応や災害時対応
・ご注文の重複に対する確認
・・・こうしてみると自社のことながら本当に色々やっていますね。
受注管理システムのメリット
・業務が効率化できる
受注管理システムは、受注を管理するために作られたシステム…つまり、管理するためのノウハウが詰まりまくった商品なんです。
導入時のオペレーションの変更には一時的に負荷がかかりますが、一定の型に沿った処理にすることで圧倒的に効率化が進むケースもあります。業務が効率化できると、負担が減るだけではなく利益率も上げることができます。
また、業務を圧縮できるため、ある程度業務が属人化しづらい点も大きなメリットです。
・ミスの軽減
受注業務はとにもかくにも複雑!煩雑!の連続です。とにかく範囲が広く、世間のイメージよりずっとたくさんの知識が必要です。
大量の情報を処理していたらどうしてもミスは起こりますが、システム管理することによってミスは減っていきます。
何故ならミスの大半はヒューマンエラーだからです。
誰しもが一度や二度や三度は経験しているであろう打ち間違い、聞き間違い、確認漏れ…
人が判断して手動で作業を行っていたものが自動、半自動的に行えると、ミスが起こるポイントをどんどん削ることができます。
・ペーパーレス化
・受注管理システムを使ってご注文をデジタル化することにより納品書や領収書を毎回、発行・送付せずデジタル化できます。ペーパーレス化によってコストの削減はもちろんのことSDGsにも貢献できるので、企業ブランディングすることも可能です。
・システム間同士の連携が可能になる
・アプリケーションと連携することでお客様がご自身で納品書や領収書を発行・ダウンロード ができるようなります。
・会計ソフトと連携させて売り上げ情報をほぼ自動で入力する。
・WMS(倉庫管理システム)と連携させることで自動出荷にする。
などシステム同士を使って様々なことを効率化できます。
また、「業務が効率化できる」「業務が属人化しづらくなる」「ミスの軽減」
どれも非常に大切ですが、弊社が見てきた限り(クラウド型サービスに限ったことではありますが、)非常に大きなメリットがあります。
それは受注管理システムが各モール・カートの仕様変更に対応して、
自動でアップデートしてくれる、というところです。
ECサイトは日進月歩。すぐに変わります。
消費税の増税、インボイス制度など制度そのものが変わることもあります。
エンジニアが居て基幹システムを自社開発している会社などは、そのたびにアップデートに追われてしまいます。
それどころか開発が追いつかないこともあります。
常に最新のシステムを使うことができるのは変動の激しいECサイトの受注管理業務にとって非常に大きなメリットなんです。
また、WMS側でも置換設定をかけることにより、商品によって同梱物や配送方法を変更することは可能ですが、外部倉庫に委託している場合だと設定変更までに時間がかかったり、追加費用が発生することもあります。
このあたりを柔軟にコントロールできるのもメリットの一つと言えます。
受注管理システムのデメリット
導入コストがかかる
勿論維持コストもかかりますが、コストとはお金だけの話ではなく、業務設計そのものをシステムに合わせて作り直す必要があるため非常に負担が大きいものになります。
いままでの商品登録形式がシステムにそぐわず、全て登録を修正する。
場合によってはレビューの溜まった商品ページを消去することもあります。
このようなことを考えると以前の記事でも述べていますが、可能な限り早い段階でシステムを決定し導入するのが理想であるというです。
障害に弱い
特に昨今の受注管理システムはクラウド型が多いです。その為、通信障害等が起こると一気に業務が滞ってしまう危険性を常に孕んでいます。
導入するメリットがはるかに上回るためどの会社でも受注管理システムを導入しているのですが、もしこれが金曜日のセール中に起こったらどうでしょうか。
・・・考えたくもないですが、実際にモールのセール中などは注文の殺到によりサーバー負荷が高まるため、起こって欲しくないときに限って起こる可能性があるものなのです。
自動連携部分を増やすと、おのずと危険性も高まってきます。そして異常事態に気づくチェックポイントも減っていきます。
できる限り自動化をするのが業務圧縮の為には必須ですが、手間は増えてもチェックポイントを設けること、受注管理システムの仕様と合わせてある程度コントロールできる余地を残しておくということも時には大切になってくるんです。なかなか難しい選択ですが、絶対はないのでもしもに備えることの重要性も考えておかなければいけません。
WMS一体型システムの登場
最近はEC需要の高まりから受注管理システムも更にグレードアップしています。
受注管理システム=OMS(Order Management System)
倉庫管理システム=WMS(Warehouse Management System)
として、今まではそれぞれ専門のシステムを導入して連携をするのが一般的でしたが、最近はOMSとWMS一体型のサービスも勢いを増してきました。
受注~出荷までまるっとアウトソースできる「フルフィルメントサービス」です。この傾向はより顕著です。
一体型システムはシンプルな操作で両者の機能が扱えるため非常に便利です。
勿論、受注管理システム、倉庫管理システム、もともとは別で存在していたものを合体させているので
一体型ならではのメリット、デメリットも当然、存在します。
簡単に上げるならこんな感じです。
メリット
・2つのシステムを行き来することなく操作や修正が行える。
・設定や登録、利用料金などが一つ分で済む。
・操作がシンプルで教育コストも低くなる。
デメリット
・専門性や拡張性はそれぞれのシステムに劣る。
・煩雑な部分はシステム外で手動でしか解決できないことがある。
それぞれ詳しく述べていきます。
まず前提として、【一体型】とは言ってもどちらかの機能に重きが置かれている場合が大半です。
その為、どうしても機能を省略せざるを得ない箇所が出てきます。
これが【シンプルな操作性】につながっているのですが、逆に言えば柔軟性には欠けてしまう部分でもあります。
専門性と汎用性がトレードオフの関係になっているということですね。
自社出荷を行っているショップであればメリットは大いにあると言えます。
受注処理も出荷処理も非常に煩雑かつ複雑ですから、使うシステムが一つ減ると考えただけでも
経験者の方であれば教育や習得速度の面だけでもうれしいことこの上ありません。
ただ、自社出荷を行っているショップの方がハウスルールが増えやすいのも実態で、
そういった実態にそぐわない危険性も抱えています。
今までの受注管理システムでは可能だった、かゆい所に手が届かないことが多々起こってしまいます。
・手厚いCS対応はなし
・とにかく自動出荷
といった感じで割り切れないと、特に手厚い対応を売りにしているショップさんは不満が溜まっていくかもしれません。
個人的には、どちらかと言えば新規出店者向けなのではないかなあ、とも感じております。
できることが少ない分設定もシンプルな傾向がありますので、導入のハードルもいくらか低くなると思います。
乗せ換えや初めて導入するけど既に受注業務のオペレーションが出来上がっているという場合には
メリットと照らし合わせて妥協する箇所が専門的な受注管理システムよりも多いであろうことを念頭に置きましょう。
受注管理システムって色々あるけどどうやって選べばいいの?
受注管理システムって調べると色々出てきますよね。
やりたいことが実現できるのか、費用、操作性……勿論色々選び方はありますが、まず初めに確認しておいてほしいことがあります。それは、
自社の基幹システムとの連携が可能な受注管理システムであるかどうか、です。
代表的な例ですが、BtoB事業を行ってきた会社で、基幹システムはアラジンを使っている場合は、同じアイル株式会社が提供しているクロスモールを導入…といった具合です。
メール管理ツールも必要になる事が多いので、もしキントーンを利用しているならメール管理システムも同じサイボウズが手狂しているメールワイズ…といった具合に、今使っているシステムから必然的に決まるということもあります。
今使っているシステムとの相性(互換性)というのは非常に重要なポイントです。
マニュアルが充実しているため時間的な導入コストを下げられたり、体制の整った手厚いサポートを受けられたりもします。
もし条件があるなら、これをクリアしたシステムの中から選択するのがオススメです。
サイトの更新や経理ともかかわってくることですので、必ず確認したほうがいいです!
受注管理システムの運用で大事なこと
受注管理システムは「在庫連携」「自動出荷連携」等に対応しているものもありますが、特別に魔法のシステムというわけではありません。
大事なのはそのシステムを使って、ルールを定め、それをしっかりと守って日々の運用をしていくことがポイントです。
そもそもが属人化しやすい業務なんですよね。
弊社にご相談に来られる会社様の9割は「担当者が辞めて(休むことになって)代わりを探している」という内容のご相談が多いです。
使い方によっては勿論業務は属人化しますし、自動化しているがゆえにミスの発覚が遅れる事もあります。
実際に発送ステータスへの移行をもって請求が確定する店舗で、何らかの原因で連携が切れていた為に気づいた時には請求がかけられなくなっている…というような相談を受けることもあります。
「ここ」という部分でチェックポイントを設けると、日々の業務は少し増えても大事故を防げたり、早急にミスが判明するので傷が浅く済みますよ。
因みに弊社では毎日システム登録在庫と実在庫の数量検証を行っているクライアント様もいます。
結果によってこんな感じ↓に原因を追究していくわけです。
・システム在庫の方が多い=データ重複依頼、引き当て不足による不完全なデータでの依頼、現場での商品破損
・実在庫の方が多い=現場での出荷漏れ、データ依頼漏れ、商品の返送
などなど。在庫数に誤りがあれば直ちに在庫を是正し、売り越しや機会損失といったことにならないよう対応する、というのも大事ことですよね。
このような検証作業の為のデータも簡単に出力することができるので、受注管理システムとはそのまま使うだけではなくチェックポイントの創出の為の補助にもなるんです。
便利な使い方は色々ありますので、是非導入したシステムは使い倒してください。
知れば知るほど、使えば使うほど知識として蓄積されて損はないのでぜひ!
まとめ
・規模を拡大していきたいなら受注管理システムの導入はほぼ必須。
・受注管理システムは専門性が高いのでほんとに色んなことができる。
・でも魔法ではないので、システムを導入したらルールを決めてそれを守るのが大事。
・いきなりなんでも自動化しようとすると失敗しやすい。チェックポイントや人の手が入れる余地をわざと残すことがPOINT。
いかがでしたでしょうか。受注システムの導入に少しでも参考になれば幸いです。
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