みんなちゃんと知ってる? WMSについて。
こんにちは。アプロ総研の受注担当です。
今回はECにおいてOMS(受注管理システム)と深くつながりのあるWMS(倉庫管理システム)についてのお話をしていきたいと思います。
WMSとは
WMSとは=(Warehouse Management System)の略で、倉庫管理システムのことです。
倉庫業務に必須な入庫、出荷、在庫の行き来を管理するためのノウハウが詰まったシステムになります。
物流品質や生産性の向上につながるシステムで物流倉庫の業務を支えているとても大事なシステムです。
このWMSですが、自社出荷を行う会社であればご自身で導入する必要があります。
製造業の原料・部品・製品倉庫、小売・卸売業・通販・EC の商品倉庫など様々な在庫をお持ちの企業様の現場で使われています。
しかし外部倉庫に出荷を委託する場合は倉庫側に既にWMSが存在しますので、そのシステムに則って管理・運用を行います。
そして、倉庫会社によって自社開発されていたり既存システムを導入していたり、契約する倉庫によってWMSはバラバラです。
目的とできることに相違はあまりないので、そんなに気にしなくても大丈夫ですよ。大抵マニュアルがありますので、そちらに従ってOMSと自動連携できるような設定をしたり、所定の形式のCSVを吐けるようにしたりします。
WMSについて導入を検討されておられる企業様、そもそもWMSという存在をはじめて知ったという方に
今回は、このWMSについて、導入の効果やメリット、デメリットなどをご紹介させていただければと思っております。
結局WMSって在庫管理システムってこと?
入荷も出荷も在庫が動きますのでそう思うのも分かりますが、少~し違いますよ!!
WMSは【在庫管理の機能も持ち合わせています】が。が!
あくまでもそれは「倉庫業務の一環として」の在庫管理機能です。
倉庫にある在庫全てを網羅するための機能なのです。
WMSは、入出荷・保管といった倉庫における「庫内物流」の
正確さとスピードアップはかる為の仕組みです。
その為に庫内物流で必要とな現物在庫を管理しているというのが正しいですね。
在庫管理システムと言うのは、仕入れ先から何をどういう量仕入れるとか、それをどこに送るだとかいうことを
担っていたりするのでそもそもの目的が違うんですね。
因みに:ロケーション管理の話。
Shopifyが台頭してきてから「ロケーション管理」という言葉を社内で聞くことが増えました。
しかしShopifyでいうロケーション管理とは在庫を保管している「店舗」「倉庫」の管理の事を指します。
倉庫内で言う「ロケーション管理」とは意味合いが微妙に異なります。
倉庫で言うロケーション管理とは、在庫を保管している「倉庫内の棚」の事を指します。
どの商品をどの棚に置いておくのか、置いてあるのかということです。
後述のピッキングリストにはこの棚番号が書いてあり、その場所へ行くと目的の商品が手に取れるようになっています。
倉庫業務はスピードもさることながら、正確性と再現性(誰がやっても同じ結果になる仕組みづくり)が非常に重要になってきます。
無駄な導線を省き作業効率をアップさせるために、倉庫ごとに工夫を凝らして棚が割り振られています!
もし倉庫見学をする機会があれば、倉庫の棚割にも注目してみてください。
どうしてWMSが必要なの?
物流倉庫の業務ってご存じでしょうか?もしくは想像がつきますか?
ぶっちゃけます。ECに関わる仕事をしている人でも物流や倉庫業務に詳しくはない人は結構います。
なんで小難しく高尚に書くのはやめます。
物流倉庫は、注文データを受け取って出荷を行います。
が、出荷を行うまでに、ピッキングリストという、なんの商品を広い倉庫から集めてくればいいかリストをみて商品を探しに行きます。
お目当ての商品を棚から個数分取ったら、手にしているハンディ等でバーコードをピッとします。
(因みに物流用語で(バーコードを)鳴かすと言うそうです。)これすることでシステムから在庫が減ります。
で、かごやダンボールにどんどん入れて、最後にピッキングリストと商品を再度、照合し確認します。
終わったら一緒に印字されている納品書を点線のところで切り離し、ピッキングした商品の上に置きます。
すると今度は梱包です。
商品が正しいかを確認し、ダンボールに商品を綺麗に詰めて、必要があれば緩衝材を入れ、
必要があればラッピングをして同梱物を入れて、封をします。そして最後に送り状を貼る。
そして次は集荷用のトラックが来ます。で、積み込み。
商品や同梱物が倉庫に来れば入荷検品、計上。レギュラーな返送などがあっても、検品して計上、もしくは破棄。
ざっくりですが日々こんな事が行われております。
あとは先ほど述べたロケーション管理とか、他にも製造年月日や賞味期限の管理なんかも色々とやっています。
勿論ロボティクスによるオートメーションな最先端倉庫もありますが、実は物流とはECに置いて一番人員が割かれている、一番人海戦術な部分なのかもしれません。
しかも人の手がする事なのに恐ろしく正確性を求められます。
1件でも商品が間違ってたら即クレームとなる事もあり得ますからね。
というわけで、こういった倉庫業務における死ぬほど数の多い在庫を管理したり、ミスを限りなく少なくするためにWMSが必須なんです。
ECの事しか知らない人間からすれば出荷とか入荷データをアップするところ、繋ぎのシステム、くらいの認識でも業務が普通にできてしまう事があるんですけどね。(入社した頃の私のことですが…。)
WMSにはどんな機能があるの?
WMSには大きく分けて4つの機能があります。
- 入荷管理
- 出荷管理
- 在庫管理
- 棚卸機能
大きくこの4つです。(他にも大きな括りでのマスタ管理とかあるけど、ざっくり。)
では解説していきます。
1.入荷管理
入荷に関する機能です。
【EC事業者側】
WMSに入荷予定データのアップロードを行います。消費期限や製造年月日などの情報が必要になる場合もあります。
【倉庫側】
入荷予定データをもとに、入荷処理を行います。
着荷したら検品し、結果として入荷済み在庫のデータを反映します。
2.出荷管理
【EC事業者側】
出荷予定データのアップロードを行います。アップロードは手動の場合と、自動連携の2パターンがあります。
また、出荷実績データをダウンロードし、発送完了のメールの送信や売り上げ請求を行う事もあります。
【倉庫側】
出荷データをもとに送り状を作成します。商品のピッキング、梱包を行い、配送業者へ荷物を引き渡します。
送り状の発行時に発送伝票番号が作成されますので、出荷実績と共にEC事業者に向けてデータの反映を行います。
3.在庫管理
在庫そのものや増減を管理する機能です。
【EC事業者側】
新商品の場合は商品マスタデータのアップロードを行います。
また、日々の在庫実績を閲覧、ダウンロードすることが可能です。
【倉庫側】
在庫情報を見ることができます。商品の情報だけではなく、どこに何個置いてある…といったロケーション情報も必須です。
長期不在返品や受け取り拒否、破損などの、イレギュラーな在庫の増減データも反映します。
4.棚卸機能
作業しているうちにどうしても実在庫とWMSに登録されている在庫はズレてしまうものです。で、それを確かめるために倉庫は一定の期間で棚卸を行います。めちゃくちゃ大変です。
【EC事業者側】
使うことはあまりないです。
【倉庫側】
棚卸のデータを作成して、検品数の入力を行います。
作業リストをもとに検品を行い、実績リストを発行。差異があれば修正し最新のデータに書き換えます。
WMS導入のメリットって?
私が考えるメリットを4つご紹介します。
- 労働力の効率化
- 正確な情報の把握
- 適切な品質管理
- 在庫管理の最適化
メリットによって状況の可視化・作業が効率化され、作業コスト・作業ミスの削減につながっています。
これらにより顧客満足度の向上につながります。
ひとつずつご説明していきましょう。
1.労働力の効率化
WMSがある事により、倉庫の労働者は最適なルートでピッキング・入出荷作業をすることが可能になって作業時間の短縮・作業効率の最適化や人的ミスの削減などが可能になるんですね。
2.正確な情報の把握
WMSでは、先程もお伝えしたようにバーコードをピッとすることによりリアルタイムで正確な在庫状況を把握することが可能なのです。
リアルタイムでの情報の把握が可能になることにより、正確な在庫数が分かるので複数の店舗での商品販売が可能になるということになります。
3.適切な品質管理
WMSでは入荷から出荷までの在庫の過程を追っているので、商品の移動が行われれば履歴が残ります。さらに賞味期限や使用期限の登録により保管履歴も追うことが出来るんです。これにより商品の品質の管理もできてしまうわけです。
4.在庫管理の最適化
適切な在庫管理をできることで、最適な在庫量の維持が可能なため過剰在庫や欠品などの問題を最小限に抑えることが可能になります。
WMS導入のデメリットって?
WMS導入でいいことばかりをお話してきましたが、デメリットがないというわけでは当然ありません。
まずは導入コストです。便利ですが便利なりにお金はかかります。当然です。
あともう一つ… それはなんでもそうですがシステムを使えるようになるまで時間と労力が必要です。
正直、とくに問題がないのであれば皆さん思うことは同じで「今のままでいい」です。
そのため、反対をされるケースも少なくないと思います。
しかし、導入によって得られるメリットは作業者のストレス軽減や労働時間の短縮につながっているのだと
理解してもらえるといいですよね。
最近はWMSとOMSの一体型システムも。
こちらの記事でも触れていますが、最近はWMSとOMSの一体型システムも人気です。
EC業務はとにかく複雑!煩雑!の連続なので使うシステムが一つでも減るのは大変ありがたいですよね…。
勿論一体型ならではのメリット・デメリット共にありますので気になる方はぜひこちらの記事を読んでみてください。
WMSと深く関わりのあるOMSに関する記事です。
どうでしょうか。外部倉庫で出荷を行う場合、EC事業者はWMSの機能をフルに使うわけではありませんので、意識していない部分も多々あると思います。
弊社もECの会社と言えど、制作系の業務をしている人はあんまり知らないと思います。なのでこれを読んでもらっています。業務の全体を理解することで見えてくるものもたくさんあるかと思いますので。
いかがでしたでしょうか?
疑問に思っていたことの解決に少しはお役に立てたでしょうか?
お力になれたのなら幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
フォローしませんか?